いつかまた、大学へ③

 今考えているのは、マネジメントの理論について自分が辿ってきた道を、AIや医学についてもやってみることだ。

 すなわち、

「単純化されたモデルを時にはかき集め、時には自ら考案し、それらを組み合わせたオリジナル・モデルを作り出し、その後に各分野の研究を行い、修正を加えていきながら完成度を高めていく。」

というものだ。

 アブダクション(仮説的推論)という手法を大学院時代に調べたこともあったが、それが該当するのかどうかは問題じゃない。

 オレにとっては、この方法が最速なのだ。

 その代わりに、これをやるからには、いずれ大学に戻る必要がある。

 学問はオレの人生のテーマではないが、医学について考える時間が増えてきた中で、雲散霧消を繰り返すのは性に合わないし、どうせやるなら博士課程を目指す方がやりがいを感じるからだ。

 もちろん、学費や、充分な時間の確保も必要になる。相当な余力が必要となるだろう。

 しかし、実現は10年後でも20年後でもいい。

 途中で諦めたり、忘れたりしてしまってもいい。

 オレはそんなゆるい目標を、20年以上、考えたことがなかった。

 そもそも、諦めてもいい人生の目標なんて存在したことがあっただろうか。


 恐らく、これはオレにとっての初めての「遊び」なのだ。