トンベリ

 随分昔のことだが、ファイナルファンタジーシリーズで異彩を放っていた、「トンベリ」というキャラクターに衝撃を受けたことがある。

 ウィキペディアによると、

「魚類か両生類のような緑色の丸顔をしており、目は黄色い。直立二足歩行をし、ローブを身にまとう。ローブの裾からは魚類のしっぽらしきものも見受けられる。手には包丁とランタンを持っている。」

という外見だ。はっきりは覚えてないけれど。

 当時のオレは、あまりロープレに興味がなく、友達がプレイしていたときに知ったような気もするのだが、地味で弱そうな割に、着実に歩み寄り、一撃必殺のとんでもないダメージを与えてくるという設定に、物凄くインスピレーションが湧いたのを覚えている。

 しかも、技の名前は「みんなのうらみ」で、それまでに倒したモンスターの数がダメージに反映されているんだとか。

 接近されるまでに倒さなければならないプレッシャーというか、恐怖というものは、今でも鮮明に思い出せるぐらいだ。


 最近、このトンベリをよく思い出す。

 …というより、自分の境遇と重ねてしまう。


 思えば、この愛媛という場所で20年近く、起業や経営の悪戦苦闘を重ねてきた。

 おかげで、人脈はそれなりに拡がっている。

 …ということは、戦いにおいてこちらに大義がある場合、その大義をどんどん広めていくことはとても大切な作業だ。

 敵対勢力に恨みを抱く人間が多ければ多いほど、この効果は大きくなるからだ。


 そう考えたとき、今のオレはまさに「トンベリ」。

 感情的ではなく、粛々と、歩を進めていく感じもまたそっくり。

 少し自嘲的にもなってしまいそうだ。