新たな苦しみを抱け

 ここ数年、創作意欲がパッタリと途絶えていた。

 オレの創作意欲の源泉はストレスだったが、どうやらそのストレスが失われてきたらしい。

 もちろん生活がラクなわけではない。

 数あるストレスの中で、特殊なものが創作意欲につながっていたようだ。

 言葉ではうまく言い表せないが、その何かがここ数年、失われていた。

 一番大きかったのは、エンジェルからの投資を受けられたことかもしれない。

 長年、値段がついていなかった自分の取り組みに初めて2000万という金銭的尺度がついた。

 そのことによって、恐らく承認欲求みたいなものが満たされてしまったのかもしれない。


 次に影響が大きかったのは、子供が生まれたこと。

 そして、4歳になるまで子育てが順調だったことだ。

 子供はとにかく親を求めてくれる。

 承認されまくってしまったことで、欲求は枯渇してしまった。


 しかし、最近、懐かしいストレスが再び、湧き始めてきた。

 今なら作詞も作曲も順調に進められそうだ。

 正体も分かっている。


 オレは幸せになってしまったのだ。

 そして、今は、そうなるためのチャンスやノウハウを身近な人間に与えることで、幸せを掴んで欲しくて仕方がない。

 きっと、「自分の視界に映るもの全てをポジティブに変えてしまいたい」という欲望もあるのだろう。

 慈善的な考えではないと自覚している。


 賢い人間はその空気を察し、疑うことなく素直に手を伸ばしてくれる。

 しかし、問題はそうじゃない人間だ。

 そういう人間ほど助けが必要なのに、どんどんネガティブなスパイラルにハマっていく。


 そのやりきれなさが、創作意欲につながる新たなストレスなのだろう。

「そういう人間に承認して欲しい」という形で、再び、欲求がやってきたのだ。

 この不毛な戦いの記録が、新たな楽曲になっていくのだろう。


2022年6月1日 午前10時前